博多っ子社労士日記

笑顔あふれる職場が増えると嬉しい!福岡市の社会保険労務士が綴るブログ

社員出張における会社の責任範囲について

お客さんから次のような質問を受けました。それに対する回答をご紹介します。

 

Q:社員出張の場合、出張先での業務時間外における事故発生の場合も含め期間中は全て会社の責任範囲対象となるのでしょうか?

A:結論から申し上げますと、「全て」会社の責任になるのかという点ではNOです。
私的な行動に起因するものとして労災が否定される場合もあります。

あくまで「業務上」にあたるか否かという判断を2つの要素で考察することになります。

まず1つ目の要素
原則として、出張過程全般にわたり従業員は会社の支配下・管理下にあると考えられます。
これを「業務遂行性」と呼びます。

例えば次のようなケースは広く業務遂行性が認めれます。
・自宅と出張先との間の往復
・宿泊先での時間

つまり、出張中に当てはまるかどうかという概念です。


次に2つ目の要素
ケガや疾病といった事故と業務との間に相当の因果関係が認められること。これを「業務起因性」と呼びます。つまり、仕事をしていた為に事故が起こったということ。

以上の2つが共に認められた時に労災が適用になります。


ですので、全くの私的行為で事故を招いた場合は「業務起因性」が不該当となり、
労災の適用はありません。つまり、会社の責任は追及されません。


実際の事例を用いて解説します。
①出張先で業務終了後に慰労と懇親の趣旨で行われた飲食行為は、出張に通常伴うものと考えられることから、業務遂行性が認められます。よって、飲食後に転倒事故を起こした場合は業務遂行性は認められます。
 問題は、業務起因性ですが、多少お酒が入って足を滑らせた程度であれば業務起因性が認められて労災扱いになります。ところが、酩酊し深夜に宿泊先の部屋を出て吐こうとしたために転倒した場合は業務起因性が認められず労 災は否定されています。つまり、長時間娯楽に興じたり、付き合い程度以上にお酒を飲んで酔う等は私的な行為と みなされ、その場合は、業務上の事故とは認められません。


②海外出張において、その地域の風土病にかかった場合や、心身ともにストレスが多い海外出張下での十二指腸潰瘍については業務上という判断された事例があります。


無免許運転による事故は、重大な過失があるとされ本人の責任。


④業務とは関係のない移動(長期出張中の休日など)における事故は、会社の管理下にあるとみなされ難いため本人の責任。


⑤宿泊先での事故につきまして、出張地における通常もしくは適当な場所での宿泊である限り、例えば就寝中の火災や食中毒による傷病・死亡など、一般的にみて出張中の宿泊・食事に伴う危険であれば業務に起因する事故であると判断されます。

 

結論として、出張者が業務とまったく関連のない私的行為や恣意的行為によって引き起こした事故以外は会社の責任が問われる可能性が高いと言えます。

 

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